こんにちは,えむきよです。
この記事では, 博士課程の大学院入試 の受験記録をしたいと思います。
博士課程で重視される研究計画は,事前に志望指導教員と共有している必要があります。
その共有(内容の周知)には,研究室訪問が欠かせません。
修士課程・博士課程の研究室訪問についての記事等もありますのでご覧ください。
私の前提
私は現在, 筑波大学の博士後期課程に所属する院生です(入試を受けたのは数年前です)。
文系分野ですが,統計などの解析も多く使用する分野です。
私は,修士課程から本大学にいたので,内部進学ということになります。
博士後期課程の倍率はその年によってかなり変動があります。この点に関して,募集要項記載の募集人数を大幅に割る年もあれば,数人多く合格する年もあるのです。なのでなんとも言えません。
イメージとしては,合格点を超えたらいいのか?志望指導教員の判断が大きいのか?というところでしょうか。
大事なことは,例年不合格になる人も一定数いるということですね。ですので,気は抜けません。万全の準備をして挑みました。
そして,入学者は圧倒的に外部が多いです。
特に,大学時代から同じ大学に所属して,ずっと内部で進学を続けている人はほぼいません。
これは,他大の博士課程もそうなのでしょうか。わかりません。
私自身についてですが,他の記事で詳述しますが,修士課程の後半で学振DC1の採用内定を得ていたので,入試では,それを前面に押し出した内容で口述試験に挑みました。
試験日は修士課程卒業前の1月末で,チャンスは1回でした(博士後期課程の入試は年に1回のみ)。

入試内容について
博士課程の入試を受験するみなさん
博士課程の入試は,筆記試験で基礎学力(英語や専門科目によって)を確認し,口述試験で博士課程での研究計画を確認することが多いと思います。この点では,修士課程の入試形態と同様かもしれません。
これはあくまでも私の予想や先輩からの情報になりますが,筆記試験はあくまでも基礎学力の確認で,合格点(ボーダー)が設けられているだけに過ぎません。
筆記の点数が高いからと言って残りの試験の点数が優遇されるということはほぼないと思います。
一方で,口述試験の内容は博士課程での実施する研究計画そのものであり,合否の判定は口述試験の結果がメインになります。
専攻科によっては筆記試験は行わず,口述試験のみというところもありますから,そういうことでしょう。
従って,今回は口述試験の内容を【実録】としてご紹介します。
筆記試験については,各自で必要な勉強をしましょう。頑張ってください。
口述試験
試験形態
博士課程の試験形態は下記のような内容でした。
発表について
博士課程の研究計画に関する20分間の発表は,パワーポイントのスライドを使用して行いました。
スライド作成・発表内容をまとめる上で注意したのは,「Simple is best」です。
自分のこれまでやってきた研究・これからやりたい研究について,たった20分で話さなければなりません。また計画のみならず,この研究の背景や意義,波及効果などについても話す必要があります。
ですので,できるだけシンプルに,わかりやすく,簡潔に。必要のないところで面接官を疑問に思わせないことを心がけました。
上記でも少し触れましたが,博士課程での研究計画のみならず,「これまでの研究(特に修士課程での研究)とのつながり」,「研究の意義」,「研究の波及効果」,「研究のオリジナリティ」など,この研究がいかに必要かをエビデンスに基づいて述べる必要があります。
これらの要素を入れながら,「Simple is best」を意識して,発表の構想を練りました。
質疑の内容
上記の発表が終わると,それに対する質疑が行われます。
会議室に私1人(受験者)と教員(教授・准教授)が8名いらっしゃいました。
そのうち,1人は志望している指導教員,2人は,研究計画の関連分野の教員(私の場合は内部生なので,修士論文執筆の際の副指導教員でした),その他は同専攻の他分野の教員でした。
私自身,事前にこの質疑に関して,想定質問をたくさん考えて,答えるという練習を行いました。
具体的には,
基本的な質問
・志望動機
・研究の着想
・研究遂行能力
・これまでの業績
・今後のキャリア
研究に関する質問
・修士論文の内容について
・修士論文やこれまでの業績との関連
・実現可能性
・研究の意義
・研究のオリジナリティ
・研究の波及効果
・研究の仮説
・研究の限界
などなどについて,答えられるような練習をしていたわけです。
しかし実際には,これらは1つも質問されなかったのです。
では15分間,何を質問されたのか。
研究計画の詳細に関する深掘りです。詳しい研究計画の内容になるので,ここでは説明が難しいですが,
・その概念は本来ーーということを表すけど,今回の研究ではそれを適応することは妥当なの?
・この点について私(面接官の先生)はこう考えるけど,どう思う?
など,とにかく内容を深掘りするような質問が全てでした。
答え方
まずは,質問の内容について正確に答えること。これに尽きます。
周りくどい言い方や,曖昧な回答などは,特に研究者は好みません。
正確に・単刀直入に答えることを目指しましょう。
それでも難しい,難解な質問や,これまで考えたことのないような質問が来ることもあると思います。
特に私の場合は,先に述べたような内容の練習ばかりしていたので,非常に焦りました。
ここで,この面接についての私の考え方を紹介します。
面接官の先生方は,言うまでもなくその分野のスペシャリストです。
研究計画の詳しい内容について深掘りしようとしてきますし,計画を聞いて,専門家として気になった点の意見を述べているのです。
先生方は,研究の穴を探そう,計画を破綻させようなんてことは思っていません。
学会発表の質疑であれば,たまにそういう研究者同士の白熱した議論はありますが,ここは入学試験です。
むしろ,専門家から具体的な質問が来たということは,専門家として,この計画について考えてくれているということですし,先生方の発言にはそれだけの価値があるということだと思います。
ですからこちらも質問に対して,論破しよう・完璧に回答しなければならない(でないと低い点数がつけられる)なんて思う必要はありません。
質疑に対して,答えられる内容であれば率直に・丁寧に答えるべきですし,
答えられないもの,例えば,その点についてはまだ考えてないものや,先生から出された提案の方が良い場合は「私はーーーと考えておりましたが,先生からのご質問を受けて,その点について再度考え直す必要があると考えました」など,率直にそのことを伝えればいいのだと私は考えていますし,実際にそのようにしました。
また,答えるときは,エビデンスと関連させた答え方の方がいいです。
みなさんご存知のように研究には根拠が必要です。
受けた質問に対して,一方的にその考えを述べるだけでは,某有名配信者のように「それってあなたの感想ですよね?」ということになりかねません。
研究者である先生方は特に,そのような受け答えを好まないとことは当然です。
ですから,「先行研究ではーーーなので,ーーーです」など,先行研究や既知のエビデンスをもとに論述した方がより説得力のある回答ができると思います。
質問内容に関する考察
今回,私の口述試験では事前に想定していたような質問というのは一切ありませんでした。
その理由として考えられることは,前半の発表の際にその内容を全て盛り込んでいた,ということであると考えています。
考え方によっては,前半の発表で「話し過ぎた」のかもしれません。
現に,基礎的な内容(例えば,研究のオリジナリティや波及効果・先行研究との違い)を前半の発表に盛り込んでいなかった私の同期は,後半の質疑でそのような点を聞かれたそうです。
そう考えると,私は,前半で話し過ぎて,後半の質疑が研究内容の方に焦点化されたのかもしれません。
私と,同期の方と,どちらの発表・質疑の方が得策なのかはわかりませんが,面接官の先生方も事前にある程度質問は用意されていることと思います。
ともすると,こちらは質問に「答えてあげる」ような発表も時には必要なのかとも考えました。
口述試験練習方法のおすすめ
私の口述試験の体験記をもとに,有効であろう練習方法についてご紹介します。
想定質問集を作って自分で練習する,ということは,大体多くの人がやることかと思います。
自分の研究を自分の言葉で説明できるように,なんてことももう当然のことです。資料の丸暗記はやめましょう。
私が提案する練習法・準備としては以下の2点です。
自分の研究分野のわかる人に練習相手になってもらう
関連分野の先行研究のレビューは済ませておく
自分の研究分野のわかる人に練習相手になってもらう
研究分野のわかる人ということがポイントです。研究計画について深掘りされた時の回答を練習します。
これは,同じ研究室の人などがいいと思います。
一方で,実際の口述試験の面接官が,同じ専攻内ではあるが,同じ分野であるとは限りません。
ですので,他分野や全く研究を知らない人にもプレゼンをして,分からないことや素朴な疑問などに答える練習も効果的であると思います。
関連分野の先行研究のレビューは済ませておく
研究計画ついて深掘りされた経験からの知見になりますが,関連分野の先行研究のレビューは済ませておく方がいいです。
備えあれば憂いなしです。色々な知見や研究結果を知っておくことで,回答の内容に深みや幅がでます。
また,エビデンスをもとに答えることにも役立ちます。
ですので,自分の分野,関連分野については,「どこまでわかっているのか」「なにがわからないのか」「自分の研究では何を明らかにするのか」を明確に答えられるようにすることは功を奏すを思います。
まとめ
今回は【実録】とし,私の博士課程入学試験の際の出来事を踏まえながら,対策について考えていきました。
博士課程を受験するということは,今後研究者として生きていく覚悟が少なからずできている方々がここまでお読みくださったのではないでしょうか。
今回ここで述べたことは,入学試験のみならず,研究活動の様々な場面で生きてくることもあるかと思います。私もこの経験を活かしながら日々精進しております。
皆様も頑張ってください。検討を祈ります。
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