今回は,【 文系大学院生の年間スケジュール 】というテーマで,文系大学院生の博士前期課程(修士課程)の2年間のスケジュールと,気をつけることをお伝えできたらと思います。
こんにちは。私は現在,文系大学院に所属しています。自己紹介はこちら
今回は,【 文系大学院生の年間スケジュール 】というテーマで,文系大学院生の博士前期課程(修士課程)の2年間のスケジュールと,気をつけることをお伝えできたらと思います。
文系大学院生は,理系大学院生のような,継続的な実験の管理やコアタイム(研究室に出勤しないといけない決められた時間)がないので,結構暇と思われがちです。
理系の大学院生に比べて暇というのはあながち間違いではありませんが,時間が多くあるからこそ,できることがたくさんあるのです。
修士論文執筆に向けて時間を効率的に使う方法をお伝えします。また,修士課程のみならず,博士課程へ進学したい人はまた少し違う動きをすることがおすすめです。その辺も解説します。
一個人の感想にはなりますが,きっとお役に立てる部分もあると思います。
ではいきましょう!

主な学内行事
これは,授業と修論。それに尽きます。卒業要件になりますので,絶対やらなくてはいけません(逆にこれをクリアすれば卒業です(結構ハードル低いかも))。
これは法律により定められている単位数で,どの大学院でも共通です。
授業は大学のように3桁の単位数を取る必要はありません。
また,あくまでも大学院では専門科目の勉強になるので,必修科目に教養や第二外国語もありません。
私の所属している大学院は修論を入れて30単位取ればOKです。大学生の皆さん,びっくりしましたか?2年間で30単位,楽勝じゃんと思いますよね。結構楽勝なんです(これだけなら)。
(修士課程の修了要件)
第十六条 修士課程の修了の要件は、大学院に二年(二年以外の標準修業年限を定める研究科、専攻又は学生の履修上の区分にあつては、当該標準修業年限)以上在学し、三十単位以上を修得し、かつ、必要な研究指導を受けた上、当該大学院の行う修士論文の審査及び試験に合格することとする。ただし、在学期間に関しては、優れた業績を上げた者については、大学院に一年以上在学すれば足りるものとする。
2 前項の場合において、当該修士課程の目的に応じ適当と認められるときは、特定の課題についての研究の成果の審査をもつて修士論文の審査に代えることができる。
文部科学省HP「大学院設置基準」〈https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/003/gijiroku/attach/1414364.htm〉(2022.7月28日閲覧)
「これだけなら」と書いたのは,このほかに「修士論文」があるからです。修士論文は,論文というくらいだから,書くのでしょう?と思われがちですが,そうではありません。論文は,単なる報告書です。
研究テーマに沿って,研究をしてどんな発見があったか,どのような貢献をしたのかを文字に起こしたものです。
従って,研究やそれに伴う発見や貢献がないと,論文は全く書けません。
そして,発見や貢献をするのは,時間がかかります。
河川敷で植物を探して,報告書を書くのとは訳が違うのです。
論文執筆は論文の執筆というゴールに向けて,研究計画,調査や介入の実施,結果の解釈,論文にまとめるといったステップで行っていきます。
このステップの中で,学内発表があったり,ヒトを対象とする研究をする人は倫理審査があったりするので,「修士論文」の執筆は大変なのです。
これらを踏まえたポイントとしては,
卒業単位の取れる部分は1年生のうちに全て取っておく
ということです。

ヨシキ
2年で30単位というと,1年春秋,2年春秋の4期間あって,大体半期で4単位,余裕をみて半期で10単位取っておけば卒業は余裕か…
という考えになる方もいると思います。しかしその計画は危険です。
答えは,修士論文の執筆に時間と労力がかかるからです。
先ほど話したように,卒業するには授業単位を取ることに加えて,修士論文がプラスであるのです。
ですから,修士論文の執筆を視野に入れた授業単位の取得を計画的に行わないといけないのです!!
次のテーマから,年次予定にそったおすすめの立ち回りを見ていきます。
2年間のスケジュールで見る,おすすめ立ち回り
表を見てください。

ざっくり説明
1年前期:学校に慣れる時期。修論のテーマを考えたり,所属のゼミを考えたり,修論を指導してもらう指導教員を選んだりする時期。
1年後期:主に修論の下準備が始まります(上記に述べた,修論のテーマ・所属ゼミ指導教員が徐々に決まります)。大体準備の進捗に関する発表会があり。
2年前期:修士論文の執筆に向け,本格的に動き出します。具体的には,倫理審査,研究実施,結果の分析や解釈です。進捗状況について学年で発表会があったり,ゼミでディスカッションがあったりと忙しくなります。
2年後期:2年後期は引き続き,修士論文の執筆になります。この時期は,調査や実験は終わり最後のまとめの作業(執筆作業)になります。また,2年後期の3月で卒業になり,修論の提出・発表会は年明け(1月とか)が多いため,半期はないのです。10月から数えても年内3ヶ月で年が明けると修論提出になります。
見ていただいてわかるように,
2年間のうちの前半は結構時間があって,後半は急に忙しくなるのです。
忙しくなる原因は「修論」です。
従って,2年間の立ち回りのポイントとしては,修論に裂ける時間を多く設けることです。
一番最初に示した通り,修士課程(博士前期課程)で行わなければならない最低限は授業+修論です。
従って,時間のある時期に授業を詰め込むということになり,
2年間のスケジュールを考えると,「2年間の前半に卒業に必要な単位は取っておく」ということです。
できるだけ,1年生の時に必要単位(30単位と,人によっては資格に必要な単位)を取っておくことが本当におすすめです。
博士課程(博士後期課程)への進学を考える方
博士課程(博士後期課程)への進学を考える方は,上記で見てきた修士課程の卒業要件(授業単位+修士論文)にプラスで必要なことが多々あります。
それを一言で言えば「業績(づくり)」です。
業績づくりは,修士課程(博士前期課程)のうちに,修士論文以外の論文を執筆したり,学会発表をしたりすることです。
特に,修士課程在学中に訪れる2回の夏は,学会や研修などのイベントがたくさんあります。ここで発表するを1つの目安に頑張ってみてもいいかもしれません。

授業+修論だけで忙しそうなのに,プラスで論文執筆なんて,どのやって時間を捻出すんねん
削れるところといえば……そう,授業です。
削るといっても,卒業単位数や資格取得に必要な授業を消すわけではないです。
授業を「こなす」のです。
私は修士課程(博士前期課程)の授業は「こなすもの」と考えています。
「こなす」やり方とは
授業を「こなす」というのは,程々にやる,ということです。
具体的には,
です。
授業中の集中力を上げる
授業時間以外に,復習や予習の時間は基本作りません。
もとより,大学院の授業は用語を暗記するような授業は少なく,成績評価も試験の形態はあまりありません。
あくまでも大学院は専門分野の勉強ですから,専門をどう応用するかなど,授業内容は「考える系」のものが多く,成績評価もレポートが一般的です。
従って,復習や予習の時間は基本必要ないとしても,授業時間内でも試行回数や集中力を上げて,授業内容の理解は,授業時間に完結させます。
授業課題にかける時間は最低限に・授業の成績は最高を狙わない
2つ目と3つ目は合わせて解説します。
上記の「授業中の集中力を上げる」と関連しますが,主にレポート課題に時間はかけません。その理由は「成績は進学に関係ないから」です。
博士課程(博士後期課程)への進学の際の入試で,授業成績をみる大学はあまりないと思います。
とても授業成績が悪い場合や,逆に,非常に優秀な場合は授業成績が関係しますが,基本的に博士課程の入試でチェックされることは,研究力・業績と,研究計画です。
従って,時間をかけて授業課題に取り組んでいい成績を取っても,それは今後の入試と関係ないのです。
むしろ,その時間を最小限にして,研究に取り組んだり,論文執筆,学会発表をした方が評価されるのです。
私は,この方法で,効率的に時間を捻出し,業績作りに励みましたし,現在も行っています。他と差をつけられるポイントです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
全体を通して,修論のために時間を確保しておくことが重要でしょう。
また,博士課程(博士後期課程)に進学したい方は,業績づくりの一環として,修士課程のうちに日本学術振興会のDC1の申請を行ったりと,やることは多くあります。
この辺の立ち回りや論文執筆の効率的な文献収集についても機会があればお話しします!
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